蘭陵王は、6世紀の中国に実在した北斉の皇族・高長恭に与えられた王号で、武勇と共にその類い稀なる美しさで今日まで名を残す武将。あまりの美貌ゆえ、兵士たちの士気が下がることを恐れ、戦場では仮面を付けて戦ったという伝説は、雅楽「蘭陵王」や京劇の演目ともなっています。美しさだけでなく、高潔さと勇猛さを併せ持った武将が辿る波瀾の生涯を、ドラマティックに描き上げる物語。
捨て子として育った少年は、その美しさゆえ有力者に庇護され生き延びてきた。ある時戦に巻き込まれ北斉軍に捕えられるが、背中の入れ墨が証拠となり行方知れずになっていた北斉の皇族・高長恭であることが判明する。強い者だけが生き残ることを知る彼は、宮廷へ迎え入れられた後も武術の鍛錬に励み、初陣で皇太子・高緯率いる北斉軍を勝利に導く。しかし、高長恭が現れたことによって戦場には不思議な光景が広がっていた…。皇帝から褒美として蘭陵王の名と二十人の美女を与えられるものの、彼は自分の命を狙う刺客として送り込まれた娘・洛妃ただ一人を賜る。蘭陵王と洛妃、共に過酷な幼少期を過ごした二人の間には、やがて不思議な絆が芽生えていく……。
雅楽師の東儀秀樹氏がフィナーレの楽曲を提供、本編の楽曲の演奏(録音)も担当致します。