今から千年ほど昔、平安時代中頃。京の都を警護している渡辺源次綱は、夜な夜な人を襲って世間を騒がせていた鬼の茨木童子の右腕を切って退治するという大手柄を立てました。片腕を切られた茨木童子は、綱の伯母の真柴に化けて綱の館を訪ねます。やがて綱が、唐櫃におさめられた片腕を見せると、真柴はたちまちに本性をあらわして腕を取り返して消え失せてしまいます。 前シテは綱の伯母(真柴)、後シテは鬼(茨木童子)という対照的な役を、演じ分け踊り分けるところが、言うまでもなく大きな見どころです。